コツブログ -2歳とパリ編-

いろいろなコツを書くブログ。まずは、2歳児と海外旅行へ行ってみます。

【パリ調】book『フランスはどう少子化を克服したか』

フランスの子育て事情を調べようと、ネットで検索してみたり、図書館で本を借りたりしています。
そんな中で、最近読んだ中で一番面白かった本に出会いました。
私は本を読むとき、気になる文章の上に付箋を貼りながら読むのですが、最初から最後まで、面白いくらい付箋だらけになってしまった本でした。

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その本はこちら。

book『フランスはどう少子化を克服したか』高橋順子
フランス人の夫とパリ郊外で2人の子どもを育てる、東大卒のフリーライターさんが書いた本です。
フランスの事情を書きながら日本との違いに言及していて、日本にも取り入れられる保育改革のネタが詰まった本だと思いました。
そうそう!と思ったことを、実体験とともにご紹介したいと思います。

 

「親の育児能力」に対する期待の低さ

フランスでは、子育ては大変だと認められている、という意識の違いが、日本とフランスの子育て事情の根本の違いだということが、書いてありました。

こんなハードなことは、親だけでできるわけがない。だからまわりが手を貸そう。その考えが、親戚・ご近所・友達付き合いをはじめ、社会全体に行き渡っています。(13ページ)

日本では、子どもを産めば誰でも「立派なお母さん」になり、お母さんだから電車の中で子どもが泣かないようにするのは当たり前、できないなら外出するな、という空気が無意識に蔓延しているような気がしてなりません。
子どもを増やすのは急務、と国が掲げておきながら、いざ産んでみると祝福されるどころか周りの目が冷ややか、という罰ゲームのような状況が生まれている気がします。
フランス人のようなおおらかな気持ちで「大変だけど頑張って」という見えないエールを送られている社会であれば、安心して子どもを産み育てることができるのにな、と羨ましく思いました。

 

育児は「夫婦」で行うもの、という意識の徹底

そんな社会になっているのは、国の方針も影響を与えているのではないか、と思いました。
フランスでは、国家主導で夫の「お父さん化」を進めているそうです。
子どもが生まれると、サラリーマンの夫には3日間の出産有給休暇が与えられるとのこと。
給与は、雇い主が負担し、拒んだ雇い主には罰金があるそうです。
その3日ですることは、沐浴やおむつかえのトレーニング。
妻が退院して、自宅に戻ったときから、お父さんを戦力にするのが目的だそうです。
そして、出産有給休暇が終わったあとは、11日連続の「子どもの受け入れ及び父親休暇」が取れるとのこと。これは、取得率はほぼ9割にも達しているそうです。
この期間ですることは、母親と全く同じ育児を経験すること。
24時間体制の育児です。
数時間起きの授乳、夜泣き対応、家事、母親のケアなど。
この休暇も、国から給与相当の金額が支給されるので、むしろ休めてラッキーとも言える制度です。
フランスでは、里帰り出産という風習がなく、祖父母の助けは期待できないため、唯一の大人である夫の手を借りるしかない、という状況もあると書いてありました。

この制度、日本でもあったらいいなと思います。
私も初めての出産に里帰り出産を選択したため、実家で至れり尽せりのケアを受けながら比較的余裕を持って「母親業」を身につけていきました。
その間、夫は遠く離れた東京にいて、2週間に1回会いに来る程度。
会いに来たときは沐浴も、ミルクも対応してくれましたが、「お手伝い」になってしまいました。
いざ一緒に住むようになっても、「母親」に慣れた私と父親になりきれない夫の差は開いたままで、夫があやしてもなかなか泣きやまない娘を、私があやすとすぐ泣き止むのを目の当たりにすると、夫の育児に対するモチベーションも下がってしまうだろうな、と側からみていて思いました。
「母親だから泣き止んだ」のではなく、「慣れた人だから泣き止んだ」だけなのに。

この「男の産休」制度があると、里帰りしていようが、夫が(強制的に)育児に参加できるので、いいことづくめだなと思います。
特に、「家事・育児は女の仕事」という古い考えの人に、是非実行してもらいたいです。
仕事の面でも、数ヶ月前からわかっている「たった2週間の休暇」なので、引き継ぎするなり別の人を割り当てるなり、その人のキャリアになんの影響もなく対応できるはずだと思います。

 

母親への過剰な期待を社会全体で見直し、父親への積極的な育児参加をうながすこと。
制度も大切ですが、国民全体の意識改革がないと、子どもは増えないのではないか、というのが子育て当事者の感想でした。(つづく)

 

 

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