コツブログ -2歳とパリ編-

いろいろなコツを書くブログ。まずは、2歳児と海外旅行へ行ってみます。

【パリ調】パリの街並みは、努力によって維持されている

昨日の記事の続きですが、迷子防止にこんな商品もありました。

良いお値段なので購入には至らないかもですが、このアイデアは良いかも。
マジックテープと紐でDIYできそうなので、家にあるもので作ってしまおうかしら。

というのは前置きで、本日は【パリ調】。

前回の【パリ調】では、国が定めたの「建築」の捉え方が違うので、現実に建ち並ぶ建築物に違いが出るのは当然かな、という感じで締めてみました。
本日は、歴史的な街並みをどうやって保存しているのかについて調べてみたいと思います。

 

どこを撮っても絵になるパリ

日本で昔ながらの寺社建築や庭園を訪れる時に残念だなと思うのが、背景にそびえる近代的なマンション群です。
せっかく江戸時代にタイムスリップした感覚で楽しんでいたのに、ビルが見えると現実に引き戻される感じがあります。
伝統的には「借景」といって、庭園外の山や樹木・竹林などの自然物なんかを背景として庭園から見えるように作り込んで風景を楽しんでいたのに、今や高層建築がその代わり…なんて庭園も出てきています。

パリでは高層建築がそもそも少ないこともあってか、カメラで撮ると実に絵になる写真になります。
そんなパリの街並みですが、なんの努力もなく街並みが保たれている訳ではありませんでした。
よくできた仕組みと市民の努力(我慢?)によって保たれているようです。

 

文化財の「周囲」も保存する

パリがどこを歩いても素敵なのは、フランスのある仕組みが機能しているからだと知りました。
それは、歴史的建造物の保存の仕組み。
日本でも国宝や重要文化財に指定されている建造物はありますが、その数と保存の方法がフランスとは大違いでした。

フランスの歴史的建造物の保存制度で画期的なのは、「その周辺環境の保全」です。
1913年!に歴史的建造物を保存する法律が制定され、1943年に歴史的建造物の周囲半径500mについて、あらゆる建設を規制する制度が導入されたとか。
1943年といえば、戦時中。
そんな時期に、歴史的建造物についての指定を考える人がいることがすごいと思います。
フランスには歴史的建造物が4万もあるので、その周囲500mを保全すると旧市街地のほとんどを覆ってしまいます。

そのあと1962年に歴史的環境の保存制度として、保全地区の制度が始まりました。
こちらが、通称マルロー法。
正式名称は「フランスの美的文化遺産の保存に関する立法と補完し、かつ不動産修復を促進するための法律」というそうですが、長いのでマルロー法で。
この制度は戦後、郊外に近代的な団地が建設され旧市街地から人が移り住むことで空き家が増え、再開発が加速されようとしていた時期に制定されたようです。
歴史的建造物そのものだけではなく、周囲500mを超えて、地区として保存していこうと決めた制度のようです。
パリでもマレ地区、サン・ジェルマン地区の2つが指定されているようなのですが、他のパリの街並みとほとんど変わらず、どこからが地区内で、どこからが地区外なのかよくわかりません。
さまざまな制度が折り重なって、今日のパリを含めたフランスの景観は整っているのだと思いました。

 

規制だらけのフランス建築事情

フランスの歴史的建造物の周辺環境を保全するために、以下の2つで規制がかかるそうです。
・歴史的建造物を中心として、「半径500m以内」の区域
・この区域の中でも歴史的建造物と「ともに見える」場合
この2つの条件を満たしている場合、あらゆる建設についてフランス建造物監視官の同意がいるそうです。
特に後者の場合だと、特に強い規制がかかかるようです。
建物だけではなく、駐車場などの土地利用、樹木の伐採、開口部の材料や色彩の変更にまで及んでいるとか。
景観が変わることになるあらゆる現状の変更について、監視官の許可が必要なのです。

「ともに見える」には2つの意味があり、①公道や広場から歴史的建造物が一部でも見える場合と、②歴史的建造物自体から建設地が見える場合、の両方とも規制されるそうです。
この制度が日本にもあったら、平等院鳳凰堂の後ろに高層マンション!なんていう事態を避けられたことでしょう。

この制度、街並み等々を保存するのには最適ですが、建物を立てる側からするとちょっとどころか大分困りそうです。
保全地区に該当する場所に土地を持っていると、国の同意がなければ個人が自由に建物を建てられない、という状況になっています。
自分の土地なのに、自分の家なのに、好きなように建てられない!ということです。
個人の自由より、公益。
それに文句を言わないのは、やっぱり「建築」が「文化」として認められているからなのでしょうか。


ちなみに、フランスでこういう規制が始まったのには長い歴史的背景があるそうです。
16世紀頃から、王宮の周辺の建設について、王の側近が建築主に意見を述べることができたようです。
意見の内容は、「王宮にふさわしい景観かどうか」。

そんな歴史もあって、不便ではあっても歴史的建造物や景観を守っていこう、という意識が根付いているのだと思いました。

 

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